Eternal Memories(追憶) -2-

 

 

会いたい…

会いたい会いたい会いたい会いたい…

 

狂うほどの焦がれ…

 

声だけで構わない…

 

 

貴方の存在を…実感させてよ…

 

 


 

 

「背中。」

ぅぅぅ…。

「月子。…聞いてるか?」

二重人格…。

「背中曲がってるぞ!」

「はいはい、分かってます!!」

 

バレンタインから一週間、私は毎日この美容院に通っている。

美容院の店長、悠馬さんが、

「”『My Fair Lady』ごっこ”は俺の目の届くとこでやれ。店の控え室使っていいから。」

と言ったからである。

ちなみにこの店のスタッフさんは4人。

店長の悠馬さん(24)に、ノリのいいアニキ関ちゃん(23)。

元モデルだったという、うっとりするくらいの美女、千春さん(22)。

そして背が高くてスタイルのいい、店では弟っぽくていぢられてる智君(22)

みんなおしゃれで、かっこいい♪

こんな美容院に毎日来れるなんて幸せ〜! 海流さんの申し出受けて良かった〜!!

なんてこっそり心の中でガッツポーズ決めていた私は、

今そのことをものすごく後悔している…。

 

「顔に疲れを出すな。」

原因はこの二重人格男…。

初めて会った時は「どーぞv」なんて超笑顔振り撒いて、

『君』なんて呼んで紳士ぶりを発揮してたくせに…

…厳しい……そりゃもうそれこそ”ヒギンズ”並みに厳しい……。

正直な話、

こんな美形に綺麗にしてもらえるなんて『源氏物語』!?

とかちょっと思ってた…。

あとは…そうそう、『プリティウーマン』とか!

とかかなり思ってた…。

「その目はヤメロ。」

そう、あくまで私が受けたのは『My Fair Lady』のイライザ役(?)なのだ…。

くたくたになるまでみっちりレディ教育を叩き込まれる役(?)なのだ…。

「ヤメロってば!」

「え…?」

鏡をさっと目の前に出される。

写ってたのは、「じと〜」っという効果音が合いそうなほど細くなってた目。

考えが表情に出てたらしい…。

「そんなことじゃいい女になるまえで100年かかるぞ。」

呆れ顔で海流さんが言う。

「もしかしたら100年かかっても無理かもな♪」

むか。こ、このぉ……。

「ほらほら、ふくれると丸い顔がさらにまるくなるぞ♪」

むき〜〜〜〜!!!!

「うるさーい!ふくれさせてるのは海流さんじゃないかぁ!」

「お前が真面目にやらないからだろが。」

しれっとした顔でそう言った海流さんに、文句を続けようとした…が…

「俺は間違ったことはさせてないぞ。」

と言う言葉に遮られた。

「人をまず一番綺麗に見せるのは”姿勢”と”表情”だ。

 いいか、ホントに綺麗な奴ってのは姿勢も綺麗なんだ。

 姿勢に一番差が出るのはリラックスしてる時。

 もとからリラックスしてるときでも綺麗な姿勢ができる奴もいる。

 でもな、大半の人間は気を抜いてる時は背中が丸くなったりするもんだ。

 そういう人間が綺麗な姿勢を身につけるためには訓練しかないんだよ。

 自然に綺麗な姿勢ができるようになるまで、一瞬でも気を抜くな。

 丸い背中はだらしない。

 次に表情。疲れた時にいかにも『疲れてます〜』なんて表情をするな。

 特に人前では。周りの人まで疲れさす。

 お前、一緒に過ごすなら『すごい疲れ顔の超美人』と、

 『笑顔満面の普通の人』のどっちを選ぶ?

 たいてい負の感情を顔に出すと、”美”ってのは霞むもんなんだ。

 …なのにお前ときたら…」

見事な論理。さすが理系…。

「だってぇ…」

「語尾を延ばすな。言葉は気品の表れだ。」

ぅ……。反論できない…。

でも、厳しい…厳しすぎる…しょっぱなからこれで、この先どうなるんだろ…。

ねをあげそうになった…。

 

 

シカシ最大ノ試練ガ待チ構エテイルノハコノ先ダッタ・・・。

 

 


 

 

更に一週間後――――――。

 

「いやだ〜〜〜〜〜〜!!!!!!」

美容院に絶叫が響き渡る…。

「何嫌がってんだよ。…そんなに意識しちゃって、俺に惚れたのか?♪」

「ちっが〜〜〜〜う!!!」

なんてことなんてことなんてことっ…!

なめてた、私、完全になめてたよ…この"『My Fair Lady』ごっこ"を…。

「そんな構えることじゃないだろう。せっかくこの俺がメイクしてやるっていってんのに。」

 

そう、私を絶叫させるほどの試練とは…メイクである。

 

「心配すんな、俺の腕はプロ級だぞ♪」

「何で美容師でもメイクアップアーティストでもないのにメイクが上手いのよっ!

海流さんに教わるより店のスタッフさんに教わった方が確実じゃん!」

そうだ、わざわざプロが側にいるのに海流さんに教えてもらう必要があろうかっ!(いやないっ!!!←反語)

「あ〜…失礼、月ちゃん」

絶叫を聞いて駆けつけ、全ての会話を聞いていた悠馬さんが口を挟む。

「海流のメイクは、本当に上手いんだ…。海流に教わったら多分すぐに上手くなるよ。」

なんですと?

「ほーら、な♪」

「何で海流さんがメイク上手いのよ!?」

「つっこむなぁ…。月子、そんなに俺のことが知りたいの?♪」

「な、何言って…違うよっ!!」

「メイク、上手くなりたくないの?」

「そりゃ…なりたいけど。」

「だったら、俺に任せとけって♪美容師お墨付きだぞ?」

「ぅぅぅ…」

なんか…いろいろ流されてる気がする…。くそぅ、何て口が上手いんだ、海流さんめ。

 

でも、海流さんがどんなにメイクが上手かろうと嫌だ。

…だってだって海流さんにメイクされるって事は、

「自分がカッコいいと思ってる男の人に、すっぴんを超間近で見られる」ってことだよ!?

これを嫌がらない乙女がいようか!(いやいないっ!!!←反語)

 

「とにかく、もう諦めろ。じゃなきゃ…」

「じゃ…じゃなきゃ…?」

「…(にやり)」

海流さんはものすごく意地の悪そうな笑みを浮かべた。

ぞくっ…悪寒を感じる…。

「…諦めます…」

「よしよし♪」

すっかり海流さんのペースにはまってしまって、

私はこの日、彼の超至近距離ですっぴんをじろじろと観察される羽目になった…。

 

 

 

 


 

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第2話で〜すv なんかちんたらな展開で全然進んでませんね(^^;)

何かこのペースだと100話までいっちゃったりして…(←勿論嘘です♪笑)

 

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